2022年4月に日本の証券市場が大きく変わります。それがタイトルに書いたプライム市場をはじめとする市場区分の再編です。
今回はその背景と、実際どのように変わるのかについて書いていきたと思います。来年の話にはなりますが、株式投資をやっている人にとっては自分が保有している銘柄が東証一部の枠組みから変わる可能性があり、それによって株式価値が棄損するおそれもあります。
現在の仕組と区分
日本の証券取引所は東京証券取引所(東証)が有名ですが、実は名古屋、札幌、福岡にも取引所があります。日本の株式のほとんど97%が東証に上場しています。
東証においては①一部、②二部、③新興市場の区分があります。①、②は有名ですよね。東証一部、二部。それだけでブランドです。③はマザーズと、実績ある企業も多く属するジャスダック市場です。
現在は5区分に分類されています。
- 東証一部
- 東証二部
- マザーズ
- ジャスダック(スタンダード)
- ジャスダック(グロース)
東証一部になる為には一定の株主数、時価総額、利益規模の条件などの条件をクリアする必要があります。ただそれに見合うだけの知名度アップや信用面の向上など企業は多くのメリットを享受できます。
新しい区分
一方、2022年から始まる新たな区分は次の3つの区分となります。
- プライム市場
- スタンダード市場
- グロース市場
英語表記でスタイリッシュになりましたね。グローバルを意識しての名称変更だと思います。何より3つのみと非常にシンプル!
なぜ再編を行う必要があったのでしょうか?
再編の背景
現在の市場区分の問題点
- 東証一部への昇格基準が緩くなった事による東証一部のブランド価値低下
- 東証一部企業でも国際的な投資基準を満たさない先多い
- 持ち合い株など政策目的の保有により実際に流通している株の割合低い
- 中小企業においても東証二部、ジャスダックとあり区分が混雑、違いが明確に分からない
- 上場廃止基準、東証2部への指定替え基準が低い
東証一部といっても大企業ばかりでなく時価総額が小さい企業も多く、東証一部の30%にあたる約700社が時価総額250億円を下回っているようです(21年3月1日現在)。
そして東証一部の企業はすべてTOPIX(東証株価指数)に組み込まれる為、企業価値が低く、改善がなかなか実らない企業へまでインデックス運用資金が流れ込む弊害が起きています。
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今後どう変わる
現在の反省を生かし、プライム市場への基準は従来よりも高く設定するようです。
- 流通株式時価総額100億円以上
- 流通株式比率35%以上
- 従来より一段高いガバナンス
流通株式比率(一般の投資家が売買できる株式の比率)を高めるのは株の持ち合いなどの解消に繋がります。
特にガバナンスに関しては取締役会の独立性、諮問委員会の設置といった高い要求水準を掲げています。米国市場に比べガバナンスが弱いと言われているのを払拭したいのだと思います。
また従来あったマザーズに上場して10年経過すると緩い基準(時価総額40億円以上)で東証一部に昇格できる特別ルールも撤廃され、あくまでプライム市場の基準に合致するかで判断されるようになるようです。
東証の新区分に関する詳細は、株式会社東京証券取引所が開設しているので、もし興味あれば以下リンクをご参照ください。
nlsgeu000004kjhc.pdf (jpx.co.jp)
まとめ
今回のまとめ
- 現在の仕組み:5区分
- 新しい区分 :3区分
- 再編の背景 :東証一部昇格基準の緩さ、ガバナンス強化等
- 今後 :グローバルスタンダード基準へ
日本企業への株式投資における売買代金シェアの7割が外国人投資家と言われています。グローバル化が進み世界標準のガバナンス水準が求められる昨今。今回のような区分の改正は世界の投資家がより日本に注目し投資を行うきっかけとなる良いことだと思います。
上場している企業も厳しくなる基準にあわせ切磋琢磨する好循環が生まれることを期待し日本株式市場の更なる価値向上を祈るばかりです。そしてその恩恵に乗っていきたいです!